渋谷の街にある小さな美術館(交友会員 鈴木秀雄)

渋谷の街の中に古代エジプト美術館があるのをご存じですか。それは、小さなビルの一角にある美術館ですが、展示品は本物で紀元前数千年前のものとは信じられないものです。

 まずその場所を紹介しましょう。学校(渋谷F&A)から行きますと渋谷に向かって歩き神南交差点で明治道路を渡ります。そしてそのまま直進して山手線のガードをくぐり抜けますと神南郵便局前の交差点に出ます。信号を渡ると美術館のあるビルが交差点の角にあります。

 

 そのビルに入ってみましょう。エレベーターで8階に。雑居ビルでエレベーターは4人が限度です。エレベーターの扉が開くと目の前に古代エジプト美術館の扉が迫ります。雑居ビルなのでなにかと狭苦しい雰囲気です。

 扉を開いて中に入ると、2人の学芸員が待ち構えて応対してくれました。第1声は「いらっしゃいませ、当館においでいただきありがとうございます。案内に1時間ほどかかりますがお時間はよろしいでしょうか」でした。こんな小さな美術館で1時間とはと思いましたが、わからないのでOKしますと、「料金は11500円です。」とのことでした。少し高いかなとは思いましたが、説明を受けることにしました。

壁に案内の張り紙がありましたので紹介しておきます。

 

 まず、はじめに5分間でエジプト史をビデオで学習しました。それから慣れない案内人が、ガラスケースに陳列されている彫刻(青銅、石でできている)について説明を始まりました。彫刻は小さなものでした。エジプトの写真集で見る彫像に比べて小さく見劣りするものでしたが、エジプト美術の特徴がよく出ていました。トトメス二世のレリーフと古代エジプトの象形文字(ヒエログリフ)が描かれた石を見ると古代エジプトの雰囲気が出てきました。

次に、別室に案内されました。案内人はとても流暢な話し方で古代エジプトの彫刻を説明してくれました。彫刻は先ほどの部屋の彫刻より繊細な感じで質のいい彫刻が展示されていました。私が驚いたのは、エジプトの彫刻は巨大で豪華とのイメージがありましたが、展示されている作品は小品ではあるものの、古代エジプトを感じるのに十分な技巧と神話の世界がありました。巨大な実物大の柱(直径1.5m)の輪切りが展示されていました。そこにはエジプトの浮き彫りが施されていました。

 ツタンカーメンに関連した彫刻、ルーブル美術館で見たエジプト彫刻からは大変かけ離れた小さな彫刻でしたが、その造りは精密で、紀元前数千年前の作品であるとは想像できません。古代エジプトの彫刻といえば、顔は横向き、上半身は正面、下半身は横向きに彫られている印象がありますが、結構リアルな彫刻があるのを知りました。彫刻を専攻している私としては驚きの作品でした。

 

 

 残念ながら、この美術館は、撮影禁止、パンフレット無しの美術館で展示品の紹介ができません。入り口に飾ってあった写真を参考にしてください。またホームページ(http://www.egyptian.jp/index.html)を開設していますのでご覧になってください。実物に興味ある方は一度訪問してはいかがでしょうか